大離れ射法

「離す」のではなく「離れる」

大離れ射法

上手な人とは?

 皆さんはどんな方を上手と評価されますか?私は20年以上中央審査員として審査にたずさわって参りました。何時も考えさせられる事は、何故、折角築き上げてた射を、離れで壊してしまうのかなぁー・・・壊さなくてもすむのになぁ・・・という事です。

 鋭い一文字の離れは、七難を隠し、色付きの離れは全てを壊します。現在は皆さんが感じられるように、多くの方は会迄は、ほとんど遜色ありません。他人の射を連想してみてください。会の状態から、スカッと一文字に鋭く離れ、大きな伸びのある残身になったらどう思われますか。おそらく、ほとんどの方は、アッ!良かったと高い評価を下すと思います。

 そうです!明暗は、鋭い一文字の離れに、集約されるのです。それを身につけることが、早道なのです。離れを、難しいと思われている方が多いようですが、本来は、一番簡単なことなのです。難しいと、いわれる方は自分で、脳に難しいとすり込んで、勝手に難しくしているのです。どなたでも出来ることです。

次の二点がポイントです。

1.シンプルになにも細工せず、一文字に離れを作る

2・その射法にあった合理的な弽を選び、正しい使い方をする。

以上が整合して初めて結果が生まれます。

 離れで苦労していませんか?本当に離れは簡単なのです。難しくしているのはあなた自身です。一にも二にも伸びて伸びて離す事を考えず、そのまま一線に、残身に戻ればいいのです。ですから、どなたにも出来るはずです。「そう上手くはいかない」「何もしないで、そんなに簡単には離れない」と思うのは、弦枕から弦を外してやらないと、矢は飛んでいかない!!という潜在意識があるからです。

 弦を弦枕から外す意識・動作が、一文字の流れに色をつけ、離れを悪くしているのです。指先を開いたり、帽子を跳ね上げたりしていませんか?妻手が残身に戻る時に、弦枕から弦を外さないと、?に弦が引っ掛かると思われていませんか?いくら伸合っても矢束一杯なら、弦は右側に動きません。それなのに妻手が残身の位置に戻るという事は、離さなくとも離れる他ありません。

 弓手は妻手の働き分しか、作用しません。妻手も同じく弓手の働き分しか作用しません。反作用ですから…。片方に力が片寄れば、重心の移動になる丈げです。バネ(伸合)が強く働けば、帽子は弦で的側に、引っ張られます。中指又は薬指は反対側に引っ張る状態になります。その為、帽子先と中指又は薬指との間は開かれてまいります。簡単に離れる事になります。スムーズに離れるように、作り上げたのが無争弽です。ですから躊躇せず、無争弽はバネ(伸合)を強く働かせればする程、簡単に離れます。

 泳げない人に「沈んでも力を抜けば浮く」と言っても、その人は頭ではわかっていても、溺れる恐怖感が先立ち、力が入り、沈んでしまい、泳げないのと同じです。

しかし、一度浮く事を体験すると簡単なことだとわかります。

弓の離れでも全く同じです。思い切りそのまま強く、残身に両腕を戻せば切れることを、一度体験されると、何故こんな簡単な事に、苦労してきたのかと、馬鹿馬鹿しく思えるはずです。

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